トンボの日々

brunneus.exblog.jp
ブログトップ
2016年 10月 15日

陽炎

先月末の長野でのこと。
キトンボの産卵が一段落したので、池の畔の木陰で休んでいると、すぐ近くでチッチゼミの鳴く音がし
た。音は背後から響いている。視線を走らせてみると、すぐ後ろの草の上に黒い虫影が。

a0126535_10523623.jpg

チッチゼミ雄
奄美以北では最も小型になる北方系のセミで、横から見ると後翅の縁が上に飛び出るのが大きな特徴。

チッチゼミはモズの高鳴きと共に、秋の高原になくてはならない音の風景だが、いつもその音は、樹上
や遠くで陽炎のように響いて掴み所がない。
たまに近い距離で鳴いていて、本体を突き止めようと梢を凝視するが、音源に近づいたと思えば遠ざか
り、移動したかと思えばまた元の位置から響く。「ジッジッジッ」または「ビッビッビッ」(チッチッとは決
して聞こえない)という脳天に突き刺さる音は、不規則に空間を伝播するのだ。近付けば遠ざかる、まさ
に陽炎。

勝手なイメージだが、ハルゼミ類、エゾゼミ類、ヒグラシ類とこのセミは、基本的に木の高い位置で鳴
くので、捕まえるのが難しいグループだ。
調べてみると、チッチゼミは時々地上の草などで鳴くこともあるらしいが、実際にその状態を見るのは
初めて。次に見られるのはいつになるか分からないので、その姿をしっかり目に焼き付けた。

長野の秋は足早に過ぎ去る。今頃は虫の音も絶え、静かな風景が広がっていることだろう。






.
[PR]

by brunneus | 2016-10-15 11:30 | 長野 | Comments(0)


<< 寒さに耐える      彩度 >>