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トンボの日々

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2017年 07月 24日

パイヌシマ2017・その8

南方に行くと、トンボと同じくらい出会いを楽しみにしているのが、海辺の甲殻類。本格的に目を向け
始めてからまだ日が浅いので、どこに何がいるのかさっぱり分からない。それだけに、訪れる度に違う
出会いがあり、刺激的だ。

今回の旅では潮汐のタイミングが悪く、ちょうどトンボの繁忙時間帯に干潮が重なってしまったので、
干潮が狙い目のマングローブに棲息する面々との出会いは諦めていた。
しかし、昨年見つけた、港のすぐ裏の小さなマングローブ干潟のことを思い出し、島に渡ったすぐ後に
覗いてみることにした。

干潟の大部分は海水に没していたが、最奥部までは海水が届かないらしく、一部砂泥が露出している区
域がある。これは希望が持てるかもしれない。岸辺から身を乗り出して、まず目に入ったのが赤い粒。

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ベニシオマネキ!
そっと近づいてみる。

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間違いない。
しかしここで大きな失態に気付く。カニ採集の秘密兵器、移植ゴテを忘れてきてしまったのだ。穴に隠
れたカニを枝や指で気長にほじるわけにもいかず、思案に暮れた結果、近くの商店で弁当用のプラスチ
ックフォークを購入。これが意外に威力を発揮した。

パイヌシマ2017・その8_a0126535_0232917.jpg

ベニシオマネキ:暗色型と紅色型

干潟には真紅のタイプと黒地に青い紋が入るタイプがいたので、しめた、2種のシオマネキを同時に採
集!と現地ではほくほくしていたが、帰宅して調べるとベニシオマネキの色彩変異らしい。カニにこん
な顕著な変異があること自体驚きだ。

ベニシオマネキは、甲殻類に興味を持つきっかけになったカニだ。
1999年。この時期はまだ、特に目的もなく沖縄を放浪していたのだが、たまたま訪れた石垣島の河
口の干潟で、このカニを見て衝撃を受けた。カニと言えばザリガニかサワガニ程度の色と形しか見たこ
とがなかったので、内地とは全く異なる、その南国情緒あふれる色彩と形態にひと目惚れしてしまった
のだ。
それ以来、南方を旅する度にこのカニとの出会いに淡い期待を寄せていたのだが、場所や時期が悪いの
か、叶わなかった。18年目にしてようやく思いが実った。

そしてもう一つの出会い。
夢中になってベニシオマネキをほじくっていると、足元に岩の割れ目があることに気付いた。何となく
気になったので覗き込んでみると、暗闇で真っ赤な眼がぎらりと光り、一瞬たじろく。この眼の持ち主
は、、。
その日の夜、干潟が干潮になった時間を見計らって再び訪れてみると、懐中電灯に照らされた巨大なカ
ニが泥に上に立ちすくんでいる。いきなり手を出して返り討ちに遭いたくないので、まず靴で踏みつけ
てから慎重に取り出す。

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クマドリオウギガニ

ノコギリガザミに次ぐ、亜熱帯のマングローブの主。とてもではないが、この強大なハサミの間に指を
入れてみようとは思えない。そして「隈取り」の由来がこれ。

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大迫力。確かに歌舞伎役者の顔だ、、。

ベニシオマネキやクマドリオウギガニは自分にとって亜熱帯のシンボル的な存在で、そういうものと触
れ合うことで、亜熱帯の懐にまた一歩、近づいた気がした。

次に訪れる時は、どんな刺激的な出会いが待っているのだろう。








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by brunneus | 2017-07-24 00:49 | 沖縄 | Comments(0)


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