トンボの日々

brunneus.exblog.jp
ブログトップ
2018年 01月 08日

宇宙

数日前。
溜まりに溜まった標本を整理していると、箱の片隅に小さな糸屑のようなものが張り付いているのが目
に入った。剥がして摘んでみると、どうやら虫のようだ。なんとかそれらしい形に整形して、出来上が
ったのがこれ。

a0126535_20435906.jpg

a0126535_20442121.jpg


素晴らしい造形美。
直感的にはヒメバチかアメバチの仲間だと思ったのだが、調べても該当する種に当たらない。捜索範囲
を広げてみると、「ツノヤセバチ」というグループが一番近いようだ。
この仲間は本土に「ニッポンツノヤセバチ」一種、その他の地域に数種知られているようだが、調べて
もあまり情報が出てこない。画像の個体はもはやどこで紛れ込んだのか分からないが、本州であること
は確実なので、「ニッポンツノ」で間違いないと思う。
長い産卵鞘から、恐らく朽ち木に潜む昆虫に外部寄生するものと思われるが、詳しいことは分からない。

ハチという昆虫は、そのバリエーションの豊かさが魅力的だ。
「ハチ目」と定義されているグループをざっと見渡してみると、その殆どが1㎝以下の小型種で、ミツ
バチやスズメバチなどの大型種はそれほど多くないことが分かる。小型種の中には体長0.1㎜程の極小
種もいて、ここまでくると、空中のプランクトンと呼びたくなる。

面白いのは、このような小型種の大部分が寄生性であるという点。種類数で言えば圧倒的に小型グルー
プが多いので、(例えばヒメバチ上科だけで国内に2000種と言われている)ハチという昆虫を説明
するとき、「ハチは寄生性の昆虫である。が、一部に例外も存在する」と言えるかもしれない。

寄生種は各種昆虫の卵を喰う極小グループが有名だが、材木に菌を媒介するもの、さらにその菌を利用
するもの、植物に寄生するハチに寄生するもの、寄生ハエに高次寄生、さらにはハンミョウの幼虫専門
に寄生するものまで、知れば知るほどその多様性に目眩がしてくる。

自然現象の法則のひとつにフラクタルというものがあるが、その小さな先端に「ハチ」というグループ
の世界があるとして、根元を辿っていくにつれ「昆虫」という枝葉の数は膨大になる。
それはまさに宇宙だ。
小さなハチたちのことを知ると、その深遠な宇宙の一端を覗いた気がして、意識が拡張されていくのを
実感する。

自然を理解するということは、その小さくも深遠な宇宙を果てしなく旅する、ということなのかもしれ
ない。






.


[PR]

by brunneus | 2018-01-08 20:48 | つぶやき | Comments(0)


<< 禁断      蔵出し >>