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トンボの日々

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2018年 12月 28日

透し翅

秋のある日の夜のこと。
立川駅を出発した中央線が国立駅に到着しょうとしていた頃に、その車内で小さな騒動が起きた。
車内はそれほど混雑はしていなかったが、お互いの身体が触れ合わない程度の間隔で乗客が立っている。
国立駅構内で列車が減速を始めると、窓際にいたカップルのうち、女性の方が小さな悲鳴を上げてさっ
と身をかわした。男性の方も異変に気付いたようで空間を注視している。
視線の先を見ると、小さな黒いハチが男性の頭上をうろうろしている。それに気付いた周囲の乗客も、
身の安全を確保できる距離にじわじわと遠ざかる。ハチだとしても大きさからして危険なものでもない
し、もうすぐ電車を降りるので避けることもなくハチを眺めていると、逃げた女性の方へ飛んでいき、
その頭上の中吊り広告へ止まった。そのシルエットを見て、脳内に電流が走る。これはあの虫だ、、。
肩を竦めて固まっている女性の頭越しにさっと腕を伸ばし、虫を手中に入れて、何事もなかったように
ホームへ降り立った。

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コスカシバの仲間。
家に持ち帰る過程で痛めてしまったのと、その後の管理が悪かったので斑紋が不明瞭になってしまった
ので、数種あるコスカシバ類の中でどの種にあたるかは分からない。
ハチに擬態した蛾としてはスズメガ科のオオスカシバが有名だが、この蛾はスカシバガ科という、全種
がハチに擬態したグループに属している。
スカシバガ科はその蛾らしからぬフォルムが魅力的で、野外で見かけるとつい本気で追い回してしまう
のだが、なかなか出会いに恵まれない。今年はオオモモブトスカシバという大型の美麗種をすんでの所
で取り逃がしている。
出会いを渇望していたスカシバに、仕事帰りの電車内で出会えるとは夢にも思っていなかったので、こ
の日は仕事の疲れも一瞬で吹き飛んだ。

調べてみると、スカシバガ科は一年を通して様々な種が出現するので、来年は気をつけて見てみたい。
とりあえずは今年手に出来なかったオオモモブトスカシバを当面の目標としてみよう。





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by brunneus | 2018-12-28 23:51 | 東京 | Comments(2)
Commented by m-gyas at 2018-12-29 09:53 x
スカシバの仲間はほんとに蜂そっくりで、私もそもフォルムに驚きました。もうだいぶ前ですが、私が千葉のフィールドにしている場所で1度だけモモブトスカシバを発見したことがあります。独特のフォルムなので飛んでいる時だったんですが、すぐにモモブトとわかりました!よくあんな奇妙な形になってるものだと感心したのを覚えてます。スカシバの仲間は出会うのは殆ど偶然なので、探そうと思うとほんとに会えないですね。1回くらい手に取ってじっくり観察してみたいものです。
Commented by brunneus at 2018-12-31 15:05
m-gyasさま

モモヅトスカシバ、羨ましいです!
10年くらい前に、僕もモモブトを手にしたことがありますが、標本を紛失してしまいました、、。
来年はお互いスカシバガをじっくり観察できるといいですね。

2019年も宜しくお願いいたします!


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