コバネマルタンヤンマ
Anaciaeschna nanuscostus
猛禽類では、森林性の種類は羽が短くなる、という傾向があることが知られている。
例えば、無限の解放空間を悠然と旋回するコンドルは、羽が長大で著しく横に長い。
一方、森林に棲むオオタカ、ハイタカ、ツミなどは、羽は丸みをおび、胴体に対して短い。
これは一説によると、枝葉が密生した森林内を自在に飛び回り、獲物を追うには長い羽は無駄で、
進化の過程で次第に短くなっていったという。
さらに言えば、これは猛禽以外の鳥類にも、概ね広く当てはまる傾向なのかもしれない。
大海原を飛び回るアホウドリの長い羽。薮の中をかいくぐるウグイスの短い羽。
トンボに目を転じてみる。
ヤンマの仲間は森林を住処とした種類が多いが、それらの標本を眺めていると、
マルタンヤンマの翅が雄雌共に、特に短いことに気付く。
マルタンヤンマは例に漏れず、森林性のヤンマだ。特に成熟前期までは、狭く、暗い環境を好む。
これはヤンマ界の「森林性猛禽現象」ではないか、、?
狭い空間を素早く飛び回るための進化、、、。
そして妄想は膨らむ。そして即実行。
何百万年か後には、マルタンヤンマも、こんな姿になっているのではないだろうか、、。