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トンボの日々

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2019年 09月 19日

オオルリボシの谷津

昨年初冬に、都内で面白そうな谷津を見つけたので、時間を工面して、昼から午後にかけて訪れてみた。

ポイントに到着して早々に目に飛び込んできたのが、このシルエット。

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ルリボシヤンマ属の雌だ。
青空をバックに、悠々と旋回している。基本的に高い所を飛んでいるが、時々小虫を追ってさあっと急
降下してくる。そんな時は、カメラに付けた望遠レンズは対応できない。

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しかし至近距離で姿をはっきり見ることができ、このヤンマはオオルリボシヤンマの雌ということが分
かった。さっそく竿を出し、臨戦態勢。こちらの様子を気にするでもなく、雌はのんびりと飛んでいる。
次に下がってきた時に振ろうと決めると、すぐにチャンスはやってきた。

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オオルリボシヤンマ雌。
収納してから一息つくと、また同じシルエットが頭上を旋回し始めた。注視していると、今度はまた別
の個体が飛んで来て摂食に加わった。さらに30分後にも新たな個体が、、。
どうやら、この時間はオオルリボシヤンマ雌の摂食タイムになっているらしい。雄の摂食は見たことが
あるが、これだけまとまった雌の摂食飛翔を見るのは初めてだ。

時間的に雄の縄張りは見られなかったが、環境的に見てもオオルリボシヤンマの繁殖にはうってつけの
場所だ。
個人的には、都内のオオルリボシヤンマの発生は不安定で、ルリボシヤンマと異なり、「いつ行っても
会える」ヤンマではないと思う。目撃情報は多摩地域にかなりあるのだが、そのうちこの目で見たのは
ほんの数カ所しかない。それも単体の個体で、定着しているものなのか、たまたま飛来したものなのか
分からない。

この日は雌のみではあるが、複数の個体を確認したので、長年探してきた「オオルリボシヤンマの産地」
である希望が見えて来た。

シーズン中にもう一度行けるか心もとないが、今後楽しみな場所ができた。




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# by brunneus | 2019-09-19 14:08 | 東京 | Comments(0)
2019年 09月 16日

秋色

房総半島に大きな被害をもたらした台風が過ぎ去ったあと。
東京は季節外れの高温と晴天が広がった。台風一過の晴天とくれば狙うのはあの虫。アクセスしやすい
場所にホストの木があるのを知って、仕事前に訪れてみた。

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成果はもちろん無し。仕事前にちょろっと行って採れれば、、などというのは甘過ぎる戯言なのは分か
っているので、ダメージは少ない。少し時間が余ったので、今年初めてのルリボシヤンマのポイントへ。

到着すると、いつも縄張りを張る雄の姿がない。暑過ぎるのだ。

ツクツクボウシの声を鑑賞するだけの時間が過ぎ、そろそろタイムリミット、という頃。
池の真ん中の水草の中に灰色のヤンマが飛び込むのが見えた。しばらく出てこないので、恐らくヤンマ
の雌だろう。しかし距離が遠過ぎて何もできない。何とか正体を確かめたい、と岸を回り込んだその時、
足元から「カサッ」という音がして、黄土色のヤンマが目の前でホバリングを始めた。すかさず竿を振
ると手応え。

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ルリボシヤンマ雌。
ルリボシヤンマの雌にはいつも不意を突かれる。この時も、別の雌が入ってきたことに全く気付いてい
なかったのだ。その後、残された時間も無くなったので、急いで撤収して駅に向かった。ぎりぎりで今
年の初物が手に出来て良かった。

池の岸辺には真っ赤なマユタテアカネやアキアカネが止まり、脇の小川にはミルンヤンマが舞う。気付
いてみれば、風景はすっかりと秋色に染まっていた。

今年のシーズンも、いよいよラストスパートに入ったようだ。







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# by brunneus | 2019-09-16 22:17 | その他 | Comments(2)
2019年 09月 14日

埼玉の竹林

8月中旬。
ある虫を狙って、かねてから行ってみたかった埼玉のポイントへ。
だいたいの情報は調べておいたのだが、なにせまだ見ぬ虫なので、どういう状況で見つけられるのか分
からず、不安が募る。時間は夕方が良い、ということなので、午後遅くに現地入りした。

駅から歩いて15分。到着した瞬間から、不安は吹き飛んだ。
竹林から響く、聞いたことのない音。音質はオオシマゼミのものが最も近いが、旋律はずっと単調で、
音量とビブラートの変化のみを延々と繰り返している。さっそく音の主を探すが、梢の方にいるらしく、
姿が見えない。やがて薄暗くなると同時にさらに音が増え、竹林全体が唸るような大合唱になった。あ
ちこち歩き回り低い場所で鳴く個体を探すが、暗い茂みで鳴いているのと、気配に敏感なので、手も足
も出ない。意を決して放置された竹林の中に分け入ると、頭上の至る所から音はするが、真っ暗なので
どうしようもない。そのうちすっかり日が暮れ、タイムアウトとなってしまった。

こうなったら成虫は諦め、幼虫を狙うしかない。真っ暗な竹林からは、まだ大合唱が聞こえている。ラ
イトで地面を照らすと、夥しい抜け殻が転がっていた。そしてその脇に光輪を移動させると、地上を歩
くいくつもの幼虫。

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狙っていたのはタケオオツクツク。
比較用にクマゼミの標本と並べてみたが、その大きさが分かると思う。今回は、流行りの「水麻酔」と
いう手法を使って自宅で羽化させてみた。

「ツクツク」という名前からツクツクボウシの仲間をイメージするが、属が異なる。調べてみると原産
は中国からベトナムとあり、なるほど竹の一大産地だ。どうやら、国内には竹箒の材料を介して移入さ
れたらしい。このあたりはムネアカハラビロカマキリの移入経緯と似ている。
最近愛知からも発見されたらしいが、埼玉では今の所、狭い地域にのみ見られるという。しかし、観察
していると頻繁に鳴き渡りをしており、竹林以外の林からも多くの音が聞こえた。
各地から採集者が集まり、幼虫も大量に持ち去られているにも関わらず、あの大合唱と抜け殻の数。な
んと言うか、鬼気迫る生命力のようなものを感じる。

最初の発見から既に7、8年ほど経っているが、今の所、日本人が大好きな桜を食害するクビアカツヤ
カミキリのような、行政のヒステリックな反応は無いようだ。

彼らの運命は、今後どうなるのだろう。





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# by brunneus | 2019-09-14 00:10 | 埼玉 | Comments(4)
2019年 09月 09日

8年ぶり

昨年あたりから近場のナゴヤサナエを狙っていたのだが、どうも埒があかないので、過去に訪れたこと
のある川へ。
しかし8年前のことなので、記憶がだいぶ薄れている。当時一緒に行ったSさんにポイント情報を確認
したうえで出発した。

現地に着いて太陽熱を充分に吸収した胴長を装着すると、サウナ状態の下半身からすぐに汗が吹き出す。
そろりと入水すると、ひんやりとした水の感触が心地いい。一見すると川面には何もいないが、目を凝
らすと、怪しいトンボが。

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しばらく目で追うと、川岸の茂みに消えた。消えたあたりに見当を付け慎重に近付くと、発見。

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さらに接近を試みるとさっと飛び、川面で別の雄とドッグファイトを繰り広げ始めた。さらにその上流
にも2匹の雄。どうやら複数の雄がいるようだ。

少し前傾姿勢で川面をフワフワ飛ぶ姿は、メガネサナエ属独特のもの。この日は、少し飛ぶとすぐに静
止してしまう個体が多く、一時的に川面から雄が消える時間帯が何度かあった。

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雄の確認は出来たので、あとは雌の飛来を待つばかりだが、一度だけ、10メートル程先の水面を不規則
に打水するのを見ただけで、チャンスと言えるものは訪れなかった。

昼を過ぎると雄も川面から消え、以降出てくることはなかったので、そのまま撤収となってしまった。
メガネサナエは一日中活動している印象があったのだが、ナゴヤサナエの引きの早さに面食らう。

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メガネサナエに慣れた感覚で手にすると、その小ささが新鮮。属の特徴である腹端の広がりも、心なし
か大人しく感じる。

ナゴヤサナエは不思議なトンボだ。
都内でも区部を中心に目撃情報は多く、かなり内陸部の公園でも確認されているのだが、これらはみな
木立で休息する個体で、繁殖活動を行う場所がいまいち判然としないのだ。
都内北東部で見かける個体は江戸川、荒川由来だと思うのだが、いったいどこで繁殖活動を行っている
のだろうか。
数年前には、多摩川下流でも複数のヤゴが採集されたらしい。
真夏の多摩川中流。広々とした水面をふわふわと前傾姿勢で飛ぶナゴヤサナエを想像してみる。今も多
摩川のどこかで飛んでいるかも知れないと思うと、わくわくしてくる。

手にしたナゴヤサナエを眺めながら、いつか都内のどこかで、ひょっこりと出会える日を夢見ている。






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# by brunneus | 2019-09-09 22:09 | その他 | Comments(2)
2019年 09月 04日

複眼の不可解

いわゆる黄昏活動性があるトンボの一部には、複眼の色が昼夜で変化するものがある。その最たるもの
はヤブヤンマで、黄昏時に採集される個体は例外なく複眼が黒い。

そして最近気になっているのがマルタンヤンマ雄。

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マルタンヤンマ雄は、黄昏時に採集した個体でも、複眼は上のように明るい青色をしている。しかし、
撮影用に仮保存している冷蔵庫に1日ほど置いてから出してみると、まだ元気に動いているにも関わら
ず、下のように色が暗くなってしまう。

マルタン雄は複眼の鮮やかさが命なので、色調が暗くなってしまった個体は、ヤブヤンマでやっている
ように、4〜5時間ほど窓辺に置いて自然光を当て、複眼の色が明るくなった所で撮影するようにして
いる。
不可解なのは野外の薄暗い環境で採集した個体の複眼も明るい色をしている、ということ。もしかした
ら光量でなく、温度に反応した変化なのかもしれない。いっぽうの雌では、状況による複眼の色彩変化
は無いのがまた不可解。

誰か、こういう何の得にも金にもならない研究をやっている人間はいないのだろうか、、?





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# by brunneus | 2019-09-04 21:44 | つぶやき | Comments(0)