1 2015年 09月 27日
昨年のこと。マダラヤンマの雌を採った帰り道、ふと、あることが気になった。 「本州産ルリボシヤンマ属(Aeshna)の雌が揃った年は、はたしてあるのだろうか?」 本州産ルリボシヤンマ属というのは、ルリボシヤンマ、オオルリボシヤンマ、マダラヤンマの3種だ。 ルリボシとオオルリボシに関しては、その気になれば雌を採ることはできる。マダラは運次第。 上田市での採集ができなくなってからというものの、チャンスが少なく、各地から猛者が集結する北 関東のマダラヤンマの産地からは足が遠のいていった。その間にも、ルリボシとオオルリボシの雌は 細々と採ってはいる。 そんな経緯があり、Aeshna属3種の雌を手にしたシーズンが無いことに気付いたのだった。 昨年、秋が深まり取り憑かれたようにルリボシ雌を求めて彷徨ったのも、マダラ雌、オオルリボシ雌 を手中にした状況はこの先ないかもしれない、と思ったからだ。 しかしそれも叶わなかった。 そして今年。 ![]() 上左:オオルリボシヤンマ雌 上右:ルリボシヤンマ雌 下:マダラヤンマ雌 ようやく念願の3種が揃った。 上の画像の個体は、先日の北国の産地で採集したもの。ルリボシ雌は、ガマの中に静かに降下するシ ルエットを察知。マダラにしては少し大きいな、と思いながらも飛びつき、ネットの中から出てきた のがこの個体。 Aeshna属3種の雌が同じ水域で採れることに驚いた。 ちゃんと(?)トンボ採りをしている人間からすれば、Aeshna属3種の雌が揃うシーズンは 珍しくないのかもしれないが、面倒臭いことが大嫌いで、集中力が無く、「ものぐさ採集」を得意と する自分にとっては快挙なのだ。 この画像を見ていると、もう今年のシーズンは終わったような気持ちになってしまうのも、向上心が 無い証拠、、、。 ▲
by brunneus
| 2015-09-27 15:20
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2015年 09月 24日
連休の三日目。 マダラヤンマを求めて北国に行ってきた。スケジュールを確認すると、連休は他に全く身動きが取れ ない。かと言って、この連休を逃すと、もう北国のマダラヤンマは末期だ。 ということで、日帰り遠征という殆ど狂気の沙汰の行動に出た。 手持ちの情報はあるが、いささか古いものなので不安。仲間に最新の情報を確認する。 早朝の新幹線で一路北へ。現地にはなんとか午前中に入ることができた。 一分でも時間は無駄にできない。急いで長靴を履き、盛りのついた犬のように水の中へと飛び込んだ。 ![]() 密生するガマのジャングルの中を、竿を構え、ゲリラ掃討戦さながらに、周囲に神経を行き渡らせな がらゆっくりと進む。頭上をしつこく飛び回るのはオオルリボシヤンマ雄。今回の目標ではないので 無視。時おり視界を掠めるシルエットはマダラヤンマ雄だが、事前に聞いているより姿は少ない。不 規則にあちこち飛び回るのでチャンスは少ないが、なんとか確保。 すり足で一周、二周。 時たま大きな翅音を立てて足元から飛び立つのはオオルリボシヤンマ雌だ。これは今回のターゲット。 しかし飛び立ってしまうと次の瞬間には視界から消えてしまう。ちょっと異変を感じ、さっと飛び上 がってホバリングする個体が狙い目だが、なかなかそういった個体には巡り会わない。幾度とない振 り逃がしの末、ようやく目的の青色型♀を手にすることができた。 ![]() そして出会いは突然やってくる。 込み入ったガマの間を通り抜けようとした瞬間、すぐ目の前をホバリングする小型のシルエットが視 界に入った。考える間もなく腕が勝手に竿を操る。快音! ![]() 最後にマダラヤンマの黄色型雌を手にしたのは2007年。実に8年振りだ。 昨年、青色型を手にした時、他の型も手にしてみたい、という欲が出てしまったが、まあそう上手く は行かないな、と期待はしていなかった。 狙っていたわけではないが、幸運にも、もう一つの型を手にすることができ非常に満足。 大枚はたいて、はるばる北の国まで行った甲斐があった。 下手くそな採集でもマダラヤンマ雌を手に出来る北国の産地。本場の底力に感謝! ▲
by brunneus
| 2015-09-24 23:19
| その他
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2015年 09月 20日
この1枚の画像から漂う違和感。 ![]() 秋のヤンマであるオオルリボシヤンマと、春のヤンマであるクロスジギンヤンマが並んでいる。 両種ともに先日の長野で手にしたものだ。 クロスジギンヤンマは基本的には春のヤンマで、平地では7月には殆ど見られなくなる。ところが、山 間部や寒冷地では秋にもぽつぽつ姿が見られることがある。 これらの水温が低い地域では、春から断続的に発生が続いているのか、春と秋に二化するのかは分から ない。いずれにしても、秋風が吹き抜ける高原で、オオルリボシヤンマの下をせかせか飛び回るこのヤ ンマを見ると、一瞬、その場所だけ季節感が希薄になる。 そしてこの時期疑わしいのは、ギンヤンマとのハイブリッドである通称スジボソギンヤンマだ。この時 も淡い期待に色めき立ち、必死に追い回して手にしてみたが、どこからどう見てもクロスジギンヤンマ。 春に出現するヤンマで大型種はクロスジギンしかいないので比較対象がないが、こうしてオオルリボシ と並べてみると、体型の違いが一目瞭然。やはり狭い空間をせせこましく飛ぶクロスジは翅が短く、 広々とした空間を悠然と飛ぶオオルリボシは、翅が幅広く長い。環境、習性による翼の形状の法則は鳥 類に顕著だが、個人的にはトンボにも当てはまると思っている。 秋の高原ならではの違和感をじっくりと味わう日々。 ▲
by brunneus
| 2015-09-20 14:29
| 長野
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2015年 09月 16日
8月下旬から嫌らしく延々と続いた長雨から、やっと抜け出せたのは9月も中旬。 この間に出会いたかったトンボのシーズンは虚しく過ぎ去ってしまった。 次の晴れ間に行く場所は、長野の高原に決めていた。早朝に家を出て、オオルリボシヤンマの産卵時間 に間に合うようにスケジュールを組む。 しかしここで再び今年のお決まりパターン。 週間予報では晴れだったが、日を追うごとに太陽マークが減ってゆき、前日にはついに傘マークが、、。 だが他に候補日もないので、気乗りしないが、仕方なく電車に乗り込んだ。 現地の天候はこの状態。 ![]() 肌寒く雲が多いが、幸いなことに、時おり日差しがある。思ったより状況は良いようだ。水面上を旋回 する青白いヤンマの影を見て、一安心する。 ![]() オオルリボシヤンマは、昨年並みに発生しているようだった。時期が早いのか、日照の関係か、マダラ ヤンマは見られなかったが、次々に産卵に訪れるオオルリボシ雌を追い回す時間を堪能できた。 ところで、画像の雄は、ちょっと変わった個体だ。成熟した雄に特有なはずの鮮やかな青色の複眼では なく、ダークグレーを帯びている。 ![]() 他の雄と同じように縄張りを張っていたので成熟していると思うのだが、未熟個体のような色が残った 個体は初めて見た。 このポイントは数年前に発見した場所だが、同業者はいないし、何より爽やかな高原の風が心地よい、 お気に入りの場所だ。 機会があれば、快晴の日にまた訪れてみたい。 ▲
by brunneus
| 2015-09-16 01:29
| 長野
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2015年 09月 06日
8月最後の休日。 相変わらずの悪天候だったが、このまま夏が終わるのも悔しいので、賭けるつもりでハネビロエゾトン ボの産地へ行った。 低温の曇天。コンディションは最悪の一歩手前で、いつもなら諦める天候状況だが、この日を逃すと行 く機会を失う予感がしたのだ。 現地には午前中の遅い時間に到着。ポイント手前の、いつも雄が飛ぶ小流には、案の定何もいない。や はり外したか、、と諦めの気持ちでポイントへ。荷物を置いて一息つくと、足元をさっと黒い影が横切 った。ハネビロエゾ雄だ。しばらくするとまた影。 結局、ピーク時には遠く及ばないが、この日は雄はそこそこ飛んでいて、一度きりだが運良く雌の産卵 にも出くわすことができた。どうやらハネビロエゾは、多少の悪天でも活動するようだ。 この産地の個体数はいつも安定していて、期待を裏切らない。それはこのポイントだけでなく、多くの 産地が周辺に点在しているからだろう。しばらくは安泰な状況が続きそうだ。 ![]() 帰りにいつもの場所で、尾毛が欠損していないカトリヤンマ雌を摘んで帰る。もう少し成熟していると 良かったのだが、この日は他に見あたらなかった。 季節はマダラヤンマへと向かっていく。 ▲
by brunneus
| 2015-09-06 11:57
| 栃木
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2015年 09月 02日
8月最後に取っておいた休みが、長雨で全て潰れてしまった。夏の仕上げのトンボをあれこれ考えて いたのだが、あえなく終了。なんとも歯切れの悪い夏だった。 全く採集に行けていないので、8月中旬の記録。例年この時期にマルタンヤンマ雄の「秋モード」が 始まるので、様子見を兼ねて、近場の谷津へ。 16時半に現地到着。空は厚い雲に覆われているが、蒸し暑い。到着してすぐに、頭上に気配を感じ 見上げると、久しぶりのシルエット。 ![]() 順調に秋モードが始まっているようだ。しかしこの個体は翅が切れているので、見送る。 その後はぽつぽつと雄が上空を通過。この日は射程外の高さを飛ぶことが多かったが、低層を飛ぶギ ンヤンマに絡まれるとコースが変わるので、そういう瞬間がチャンス。 ![]() おまけの図鑑用ショウジョウトンボを摘んで、マルタン雌が飛び始めた頃にポイントを後にした。 この秋は天候に振り回されることなく、順調にスケジュールがこなせると良いのだが、、、。 ▲
by brunneus
| 2015-09-02 13:15
| 東京
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