トンボの日々

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2018年 07月 14日

増減2018・その2

今現在入ってきている情報では、ヤンバルの馴染みのポイントのカラスヤンマが今年は非常に数が少な
いようだ。
川がどこも妙に綺麗だった、という話も聞く。世界遺産を睨んだ工事の影響もあるとは思うが、羽化の
時期の大雨で、ヤゴが底質もろとも根こそぎ流されてしまったのだろうか、、。きちんと調査したわけ
ではないので原因は不明だ。もしかしたら、たまたまその日が少なかっただけなのかもしれない。

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話変わってオオメトンボとアメイロトンボ。
オオメトンボは、オキナワミナミヤンマが飛ぶ渓流の水溜まりに朝行くと、多くの個体が飛び交ってい
る。しかし全く見られない年と、沢山の個体が飛び交う年がある。同じ時期の同じ時間なのに、不思議
だ。今年は最盛期とまではいかないものの、複数の個体が飛んでいたようだ。
アメイロトンボは海岸沿いの水田地帯や、その水路で見られるが、このトンボも個体数の増減が激しい。
全く見られない年が続いたかと思うと、あちこちで見かける年も。今年は少ないながらも見られたよう
だ。アメロトンボも移動性が強い種なので、個人的にはオオギンヤンマやトビイロヤンマとリンクして
いるのでは、と思っている。

トンボ以外ではこの虫。

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タイワンツチイナゴ。
この巨大なバッタとの出会いは、2000年の渡嘉敷島でのこと。山の頂上のだだっ広い草原で、足元
の草むらから歩く度に飛び出す赤茶色の小鳥がいて、正体を確かめようと近付くと、それがバッタで驚
いたことがあった。
その時の衝撃はずっと残っていて、次に出会ったら是非手にしたい、とその後の遠征で気をつけて見て
いたが、出会いに恵まれなかった。
今年はどこの場所でも大量に発生しているらしく、街外れの空き地やサトウキビ畑はもちろん、林道脇
のちょっとした草むらにもいたらしい。何がこのバッタの発生をコントロールしているのだろうか。

行く度に様々に表情を変える自然があるから、遠征が飽きない理由のひとつだと思う。









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# by brunneus | 2018-07-14 13:09 | つぶやき | Comments(0)
2018年 07月 10日

遠い記憶・その2

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亜熱帯の島の、田舎のバスターミナル。
目的地へのちょうど中間地点という所だが、このターミナルにある売店が好きだ。白い光が充満する世
界から薄暗い店内に一歩入ると、涼しげな風が頬を撫でる。奥のベンチでは近所の女子学生が扇風機の
前で涼んでいる。雑然と並べられた雑多な商品の中から、いつも選ぶのはサーターアンダギーとターン
ムのパイ。そしてパックに入ったモズクの天ぷら。
商品の裏にいる店のオバアは、どこかへ行ってしまっている時もあれば、知り合いと長電話している時
もある。

やがて老いたエンジン音を響かせながら、乗り継ぐバスがやってくる。
冷房が効き過ぎた車内に、乗客は自分しかいない。暴力的な運転で国道をひた走り、さらに奥地へ。

午後遅く、海沿いの水田地帯へ降り立つ。

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午後とはいえ、日差しは衰える兆しもなく、頭上と地面の照り返しで光と熱にがっちりと全身を捉えら
れている。額を撫でる熱風、吹き出す汗。意識が朦朧としてくる。

汗で霞む眼を凝らしてイグサの間を覗くと、当初は見えなかったものが見えてきた。

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すぐに限界が来た。ぬるい水をいくら飲んでも体力が回復しない。いま必要なのはぬるい水ではなく、
身体の芯の温度を下げる冷水だ。身体が動かなくなる前に、谷間へ逃げ込む。

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心地よく冷えた川の水に足を浸していると、いくらか気分が楽になってきた。林道へと出てみると、頭
上に気配。見上げると、待ちこがれていたシルエットが舞っていた。

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これを見られただけでも、東京から10時間、遥々やってきた意味があるのだ。
久しぶりに出会う恋人を見たときのように、胸が高鳴るのを感じる。









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# by brunneus | 2018-07-10 23:02 | つぶやき | Comments(0)
2018年 07月 08日

増減2018

移動性の強いトンボは、年によって個体数の増減が激しい。
例えばこの二種。

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上:オオギンヤンマ 下:トビイロヤンマ

オオギンヤンマは、2000年代前半まではヤンバルの水田地帯に多くの個体が見られ、飛んでいて
も無視していたほど。ところが次第に数を減らしていき、2008年を最後に全く見かけなくなった。
ところが数年前からトンボ仲間の間で目撃され始め、今年も雄雌ともに複数見られたようだ。
かつてヤンバルにオオギンヤンマが多かった頃、飛ぶのは雄ばかりで雌は見たことがなかった。一度
だけ、リュウキュウギンヤンマの雄に捕捉された雌を手にしたことがあったが、このヤンマの雌は、
いったいどこで何をしているのだろう。水田地帯で産卵するのはギンヤンマか、リュウキュウギンヤ
ンマの雌ばかりなのだ。自分の目が節穴なだけかもしれないが、、。
画像の雌は、日没後、芭蕉の木の上を飛び交うトビイロヤンマに混じって飛んでいたもの。

トビイロヤンマも、2000年代前半頃はそれこそ無数に飛んでいた。以降は全く見かけない年はな
いが、個体数は減ったり増えたりを繰り返している。

この2種は山間部には見られず、平地、それも海岸沿いの開けた浅い池沼に多い。分布の本拠地は東
南アジアから太平洋一帯でとても広大だ。強靭な移動力で、大海原に点在する島々を渡り歩いている
のだろう。
近年の研究ではオオギンヤンマは国内に定着せず、飛来種扱いになっているが、個人的にはトビイロ
ヤンマもそれに近い状況なのでは、と思うのだ。

現地を訪れるたびに個体数の増減に一喜一憂する。自然の気まぐれに振り回されるのも、それもまた
自然相手の趣味の一部なのだろう。

そういえば少し前から神奈川にオオギンヤンマが入っているらしいが、開拓精神旺盛な若者諸君の成
果はあっただろうか。










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# by brunneus | 2018-07-08 13:12 | つぶやき | Comments(0)
2018年 07月 06日

遠い記憶・その1

羽田から南へ向けて離陸したボーイング727は、初夏の靄に霞む東京湾の上空で右旋回する。眼下に
横浜臨海部が見えたところで視線を上げると、北西に奥秩父最高峰の北奥千丈岳から金峰山へと続く緩
やかな盛り上がりの上に、八ヶ岳が見えてくる。

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そして視線を左に移すと、ピラミダルな甲斐駒ケ岳、北岳から間ノ岳、農鳥岳の南アルプス北部の核心
部が雲の上に顔を出している。

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夢中になって窓ガラスに額を押し付けているうちに、刻一刻と峰々は形を変えてゆき、眼下に黒々とし
た富士山の火口が見えてくる頃になると、南アルプスの上に小さく輝く雪の連山が顔を出す。槍ヶ岳や
穂高の北アルプス南部の盟主たちだ。機体はいま駿河湾沖の太平洋上空を飛んでいる。北アルプスまで
遥か170キロ。

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これから向かう光と熱の狂気の世界と、未だ雪と氷が支配する標高3000mの世界。ふたつの全く異
質な世界が、意識の中で交錯する。

伊勢湾が見えてきた所で機体は本州から離れ、進路を南西に変え、大洋のただ中を進む。うとうとして
きた所で眼下を見ると、色鮮やかな珊瑚礁に囲まれた亜熱帯の島。

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目を凝らすと家の一軒一軒が判別できる。小さな港沿いの集落。

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クマゼミの声に包まれながら、人々の一日の活動が始まっているのだろう。

羽田から南へと向かう機窓。温帯から亜熱帯へと移り変わる眼下の風景を受け入れることが、意識を日
常から開放する大切な儀式なのだ。

そして光と熱の狂気の世界へ。









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# by brunneus | 2018-07-06 21:59 | つぶやき | Comments(0)
2018年 07月 01日

グリーン

梅雨け間近の関東南部。
海からの強風に流された雲が、暑く湿った風に低く流されてゆく。身体に絡み付くねっとりとした空気。
まるで沖縄にいるみたいな日だった。

時間が少し出来たので、クラシックなマルタンヤンマの産地へ。
街中で吹き荒れる熱風も、この小さな谷津には入り込めない。頭上の電線を共鳴させる音が聴こえてい
る。草と泥の匂いと、湿地から響くキンヒバリの涼しげな音。ネットを構えて谷津の奥の暗がりを見つ
める。

草むらを黒い影が滑るのが見えた気がして全身に緊張が走るが、次の瞬間、青い残像を残して遥か後方
へ。数分後、今度は谷津をぐるぐる旋回する気配。かと思うと背後から一気に抜けていく後ろ姿。

なかなかストロークしやすい場所を飛んでくれず、全く良いイメージが湧かない。このまま手ぶらで帰
るのか、、と思った矢先、出し抜けに頭上に影が飛び出してきた。身体が勝手に反応し、ネットの中に
は待望の姿。

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取り出してみると、まだ斑紋が緑色がかり、翅も透明な半成熟個体だった。
未熟から成熟へと劇的に体色が変わるマルタンヤンマ。野外で成熟前の個体を手にしたいと願っていた
が、この日、ようやくそれが叶った。

この場所は例年7月に入ってから訪れている。その時期のマルタン雄は、基本的には一定のコースを飛
び去るパターンなのだが、この日は飛び方が不規則すぎて翻弄された。それが成熟度によるものなのか、
天候によるものなのか、、。

長年通い慣れた場所なのでマルタンに関しては熟知しているつもりだったが、まだまだだったようだ。













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# by brunneus | 2018-07-01 22:35 | 神奈川 | Comments(0)